抄録
高等植物のミトコンドリア分裂には、DRP3AとDRP3Bという2つのシロイヌナズナダイナミン様タンパク質の関与が明らかである.さらに、このうちDRP3Aについてはペルオキシソーム分裂への関与も報告されている.しかし、これらDRP3A、DRP3Bの細胞内における関係や両遺伝子の機能分化については未解明な点が多い.そこで本研究では、まずDRP3AとDRP3Bの相互作用と詳細な細胞内局在について調査した.Yeast two hybrid法による解析から、DRP3AとDRP3Bが直接相互作用することが示唆された.また、別々の単量体蛍光タンパク質で標識したDRP3A、DRP3Bをそれぞれのプロモーターを用いて植物体で同時に発現させ、その局在様式を比較したところ、DRP3A、DRP3Bは細胞内で共局在することが分かった.次に、DRP3A、DRP3BそれぞれのT-DNA挿入変異体及び二重変異体におけるミトコンドリア、ペルオキシソーム形態をそれぞれ比較した.その結果、ミトコンドリア分裂にはDRP3A、DRP3Bが重複した機能を持つが、ペルオキシソーム分裂に関してはDRP3Aが主に機能的であり、2つの遺伝子間には機能的な差異が認められることが示唆された.