日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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甜菜の適合溶質およびイオン蓄積の制御機構
*山田 奈々山根 浩二日比野 隆田中 義人玉掛 秀人高倍 昭洋
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p. 0251

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抄録
甜菜はアカザ科の植物で、根に高濃度のスクロースとベタインおよびラフィノースを蓄積する。スクロースおよびベタインは葉で合成されるが、それらの合成・輸送・蓄積の制御機構は明らかではない。そこで、今回、幼少期の甜菜における適合溶質、イオンの蓄積・輸送について検討した。甜菜はストレスを加えない条件でもベタインを2~5 μmol/gFW蓄積する。1ヶ月間成育させた甜菜を、第1~4葉、茎、根に分け、各部位における適合溶質およびイオンについて調べた。ベタインはコリンの2段階の酸化反応により葉緑体で生合成されるが、その最初の反応を触媒するコリンモノオキシゲナーゼ(CMO)が律速酵素と考えられている。CMO の発現量を抗体で調べたところ、ストレスを加えないときでもCMO蛋白質は葉で検出された。NaClによる塩ストレスを加えると、各部位でCMOとベタインは著しく増加した。そのとき、Na+の蓄積量は増加したが、K+はあまり変化しなかった。ポリエチレングリコールによる浸透圧ストレスを加えたときも同様の現象が観測された。アンチセンス法によりCMOの発現を抑えた甜菜の作出を試みている。このような条件下において、スクロース、プロリンの蓄積量およびベタイントランスポーターの発現を調べる予定である。
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© 2008 日本植物生理学会
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