日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの種子成熟、発芽においてSnRK2タイプのタンパク質リン酸化酵素SRK2D、SRK2E、SRK2Iは重要な役割をもつ
*中島 一雄藤田 泰成片桐 健城所 聡圓山 恭之進降旗 敬篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 0263

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抄録
アブシジン酸(ABA)は種子成熟・発芽において重要な役割を担っており、bZIP型転写因子ABI5が種子成熟・発芽のABAシグナル伝達に関わっている。ABI5/AREBファミリーで保存されているSer/Thr型リン酸化酵素標的部位のアミノ酸を置換したABI5では、ABAによる転写活性化能が抑制された。また、ABI5断片はABAで活性化するSnRK2タイプのタンパク質リン酸化酵素SRK2D、SRK2E、SRK2Iでリン酸化された。これらの遺伝子は、種子成熟・発芽時に異なった様式で発現した。発芽時においてsrk2d/srk2e/srk2i三重変異体はsrk2d/srk2i二重変異体よりも強いABA非感受性を示したが、srk2dsrk2i変異体ではABA非感受性は見られなかった。ABA非感受性に応じて休眠の程度は異なった。さらに三重変異体では高湿度条件下では穂発芽が見られた。マイクロアレイ実験により、abi5変異体の種子で発現レベルが低い多くの遺伝子(AtEm6など)の発現レベルは、三重変異体の種子でも低下していることが明らかになった。以上の結果から、SRK2D、SRK2E、SRK2Iは種子成熟・発芽のABAシグナル伝達において重要な機能をもつタンパク質リン酸化酵素であることが示された。
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© 2008 日本植物生理学会
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