日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネFlo2遺伝子の単離と構造解析
*シャク 高志福田 真人伊東 瑛子工藤 麻里佐藤 光島田 浩章
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p. 0262

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抄録
flo2変異体ではデンプンの生合成に関わる遺伝子群や貯蔵タンパク質遺伝子などの発現量が低下することが明らかになっている。このため、flo2変異の原因遺伝子はこれらの生合成系遺伝子群の発現を広範に制御する因子であると考えられる。 Flo2遺伝子座を同定するために、flo2とカサラスを交配して得られたF2のうち、flo2表現型を示す639の劣性ホモ系統を用いて遺伝子をマッピングした。これらの植物体のゲノムDNAについて、それぞれの親系統に特異的なプライマーを用いたPCRによるFlo2座の精密マッピングを行った。その結果、Flo2座は第4染色体の110 cM付近の約37 Kbの範囲にあることがわかった。そこで、変異体と野生型のこの領域の塩基配列を決定し、両者を比較した。その結果、この領域に存在する4つの遺伝子のうちの1つの遺伝子のコード領域に点変異があり、これにより終止コドンが生じていることがわかった。また、F2系統のうちでflo2表現型を示すものは全てに同様の変異が認められた。次に、独立に得られた他の7系統のflo2について、この領域の塩基配列を解析した。その結果、これらの全ての系統において、この遺伝子に変異が生じており、これによって遺伝子の機能が失われていることがわかった。以上のことから、この遺伝子がFlo2遺伝子であることが強く示唆された。この遺伝子は1721アミノ酸からなるタンパク質をコートしていたがこれは既知の転写因子との相同性は認められなかった。
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© 2008 日本植物生理学会
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