日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ転写コアクチベーターAtMBF1はエンドリデュプリケーションを通して葉の細胞の成長を調節している
*東條 卓人津田 賢一池田 亮山口 淳二吉積 毅松井 南山崎 健一
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p. 0265

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抄録
Multiprotein Bridging Factor 1 (MBF1) は、転写因子と転写装置の間を橋渡しすることで転写を活性化する転写コアクチベーターであることが動物や酵母で報告されている。しかしながら、シロイヌナズナは3種類のMBF1遺伝子を有しているにも関わらず、その詳細な役割はわかっていない。我々はAtMBF1の生化学的機能を明らかにすべく、AtMBF1に強力な転写抑制ドメインSRDXを連結させた融合タンパク質(AtMBF1-SRDX)をシロイヌナズナ内で過剰発現させることを試みた。AtMBF1-SRDXは転写コリプレッサーとして内生のAtMBF1sにドミナントネガティブに働きかけ、それらが関与する転写因子の働きを阻害することで、AtMBF1の機能に関連した表現型が現れることが期待された。
AtMBF1-SRDX を過剰発現する植物は、その本葉が極端に矮小化し、本葉の細胞も野生型に比べ小さくなった。その本葉の細胞では核内のDNA含量の極端な減少が起こっており、AtMBF1-SRDX が本葉細胞でのエンドリデュプリケーションを抑制していることがわかった。また、いくつかのエンドリデュプリケーションを負に制御する遺伝子の発現が上昇していたことから、AtMBF1-SRDXはそれらの発現制御を通して本葉細胞におけるエンドリデュプリケーションを抑制していることが示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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