抄録
シロイヌナズナ花茎の重力感受には内皮細胞内のアミロプラストの重力方向への沈降が重要である。アミロプラストはアクチンマイクロフィラメント(MF)に取り囲まれていることが知られており,アクチン重合阻害剤処理では重力屈性がやや促進されることが示されている。しかし,アミロプラストとMFとの関係,および,MFの重力屈性反応における役割は具体的には良く分かっていない。
shoot gravitropism9(sgr9),sgr5はいずれも花茎重力屈性能が低下し,また,sgr5 sgr9二重変異体は重力屈性能を完全に失う。これらの変異体ではアミロプラストが重力方向に沈降しておらず,SGR5とSGR9は重力方向へのアミロプラストの移動制御に関与すると考えられた。そこで,SGR5,SGR9が関与するアミロプラストの移動制御とMFとの関係を解析するため,sgr5,sgr9,sgr5 sgr9の花茎をアクチン重合阻害剤で処理したところ,これらの変異体の重力屈性反応が回復した。SGR5,SGR9は共に内皮細胞で機能することから,これらの変異体ではMFの脱重合阻害によりアミロプラスト沈降異常が生じ,重力屈性異常が引き起こされているのかもしれない。現在,アクチン重合,脱重合阻害剤を用いた薬理学的解析に加え,MF形成を優性阻害するアクチン分子種を用いた分子遺伝学的解析を行なっている。今後,SGR5とSGR9が重力感受細胞でアクチンのリモデリングを介してアミロプラスト移動制御に関わる可能性を検討していきたい。