日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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転写因子の活性化による効率的な道管要素分化誘導システムの開発
山口 雅利五十嵐 久子大谷 美沙都Goue Nadia中野 仁美西窪 伸之*出村 拓
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p. 0267

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抄録
私たちはこれまでに、NACドメインタンパク質、Vascular-Related NAC-Domain6 (VND6) およびVND7、が活発な二次細胞壁形成と細胞死を伴う道管要素の分化を決定するマスター転写因子であることを明らかにした。本研究では、これらマスター転写因子を利用して効率的な道管要素分化誘導系の開発に成功した。VND6およびVND7を転写活性ドメイン(VP16)およびグルココルチコイドレセプター(GR)との融合タンパク質として恒常的に発現させるコンストラクト(35S-VP16-GR-VND6, -VND7)を構築し、シロイヌナズナ、タバコBY-2培養細胞、シロイヌナズナT87培養細胞に導入した。形質転換シロイヌナズナではグルココルチコイド誘導体であるDEX依存的にVND6およびVND7を活性化させることによって根毛細胞やトライコームを含む様々な細胞から道管要素への分化転換が誘導された。表現型が最も強い形質転換ラインでは、道管要素への分化転換による細胞死のために誘導後数日で植物体全体が白色化した。また、BY-2およびT87では35S-VP16-GR-VND7を導入した場合に、DEX依存的に高頻度な道管要素分化が誘導された。現在、誘導された道管要素の詳細な形態観察や細胞壁組成の分析、ポプラなどの他の植物の形質転換を進めており、これらの結果についても報告したい。
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© 2008 日本植物生理学会
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