抄録
イネEL5は膜局在性のRING型ユビキチンリガーゼ(E3)である。内在性EL5の機能を阻害するためにE3活性欠損型変異遺伝子(mEL5)を過剰発現させた結果、不定根原基が壊死し発根しなかったことから、EL5は根原基分化後の細胞維持に関与する細胞死抑制型E3であると考えている(Koiwai et al., Plant J., 2007)。今回我々は、細胞外の硝酸、亜硝酸あるいはカルシウムイオン濃度を高めると、mEL5発現イネ特異的に根端が壊死し根伸長が阻害されることを見出した。また、mEL5発現カルスは通常のN6培地上で正常に増殖するが、一酸化窒素(NO)生成剤SNPで処理すると、コントロールカルスより有意に多くの細胞が壊死した。以上の結果から、EL5は少なくとも根端および培養細胞のNOストレス耐性に関与していることが示唆された。次に、EL5の作用機構を明らかにするために、その基質認識領域と考えられるC末端領域(EL5-C; A195-N325)と相互作用するタンパク質をプルダウン法で探索した。Hisタグを付けたEL5-Cと共精製されたカルス由来のタンパク質を質量分析した結果、細胞質型グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GapC1, 2, 3)と同定された。さらに、これら3種のGapCと種々の長さのEL5-Cとの相互作用を大腸菌2ハイブリッド法で解析した結果、GapC2がEL5のP249-S276領域と相互作用することが強く示唆された。