日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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スフィンゴ脂質関連酵素を介したAtBI-1による植物細胞死抑制機構の解析
*長野 稔井原(大堀) 由理角田 智佳子内宮 博文川合 真紀
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p. 0279

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抄録
植物において、プログラム細胞死は様々な因子によって高度に制御されている。Bax Inhibitor-1 (BI-1) は生物間に広く保存された細胞死抑制因子である。シロイヌナズナのBI-1 (AtBI-1) は約26kDaの小胞体膜に局在する7回膜貫通タンパク質で、植物細胞に過剰発現させると、過酸化水素、サリチル酸、エリシターなどによって引き起こされる細胞死を抑制することがこれまでに報告されている。また、AtBI-1のC末端に存在するcoiled-coil構造が細胞死抑制機能に必須であり、カルモジュリンと相互作用することも明らかとなっている。しかし、これまでAtBI-1が細胞死を抑制する分子機構については明らかとなっていなかった。
最近の我々の研究から、AtBI-1がAtFAH (Arabidopsis fatty acid hydroxylase) とcytochrome b5 (Cb5) を介して相互作用することが示唆された。Cb5は脂肪酸合成に関与する電子伝達因子で、AtFAHはスフィンゴ脂質脂肪酸のヒドロキシラーゼであり、小胞体に局在している。近年、セラミドを含むスフィンゴ脂質が細胞死制御に関与することが明らかになりつつある。本研究は、AtBI-1がスフィンゴ脂質制御を介して細胞死の抑制を行っていることを示唆している。
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© 2008 日本植物生理学会
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