抄録
【目的】植物のストレス応答や防御に関する多くの遺伝子が選択的スプライシングにより複数の転写産物を生成している。これまでに、シロイヌナズナのスプライシング制御因子であるセリン-アルギニンリッチ(SR)タンパク質の中で、atSR45aが強光により発現誘導され、5’スプライス部位認識に機能するU1-70Kと相互作用をすることを明らかにした(Plant Cell Physiol. 48: 1036-1049, 2007)。そこで本研究では、スプライセオソーム形成におけるatSR45aの役割を酵母two-hybrid法により検討した。
【方法・結果】atSR45a自身の選択的スプライシングにより生成する6つの成熟型mRNA(atSR45a-1a~e, -2)のうち、機能型と推定されるatSR45a-2 mRNAがコードするタンパク質をBaitとして、酵母Two-hybrid法によりシロイヌナズナcDNAライブラリーから相互作用因子を検索した。その結果、atSR45a-2は、3’スプライス部位で機能するU2AF35bと相互作用した。さらに、BiFC法による解析の結果、atSR45a-2とU2AF35bとの相互作用を示すYFP蛍光が核において検出された。このことより、atSR45aは核においてスプライシング基本構成因子との相互作用を通して、スプライセオソーム形成に機能していることが示唆された。