抄録
モモ(品種:ゆうぞら)果実由来の懸濁培養細胞を用いてアスコルビン酸含量の変化を調べた。植継ぎ2日後に0.4 μM/gFw 程度でもっとも高く、細胞の増殖とともに減少し、18日後には 0.13 μM/gFw 程度になった。還元型の割合は、80-90%で、培養10日後以降は若干低下する傾向が見られた。細胞容積の増加は18日後以降はほぼ停止した。培地のpHはロットによる変動が大きかったが、培養2-7日後ぐらいまではpH4程度で推移した後次第に上昇し、18日後にはpH5以上になった。アスコルビン酸合成に関わる5つの酵素(L-ガラクトノラクトン脱水素酵素、L-ガラクトース脱水素酵素、GDP-マンノースピロホスホリラーゼ、GDP-マンノースエピメラーゼ、アルド-ケト還元酵素)の発現量の経時的変についても報告を行う。