抄録
α-リノレン酸の合成を触媒するタバコ小胞体局在型ω-3脂肪酸不飽和化酵素をコードする遺伝子(NtFAD3)のコサプレッション株(S44株)では、CaMV 35Sに由来するEl2プロモーターが導入遺伝子の転写に用いられている。El2の一部の配列をターゲットとする3種類のヘアピンコンストラクトをS44株に導入し、プロモーターDNAのメチル化を誘導した。その結果、一部のコンストラクトを導入した二重形質転換体(S44-end株)において、NtFAD3 siRNAが消失しα-リノレン酸含量が野生株よりも増加した。過剰発現の表現型となったS44-end株のプロモーター領域は親株のコサプレッション株と比較して高度にメチル化されていたが、NtFAD3遺伝子のコーディング領域のDNAメチル化の程度には差が見られなかった。一般的にDNAのメチル化は、ヒストン修飾を介したクロマチン構造の変化を伴うと言われている。そこで本研究では、プロモーターDNAのメチル化によるコサプレッションから過剰発現への表現型の転換に伴う、導入遺伝子領域のクロマチン構造の変化について、プロモーター領域と、導入・内在NtFAD3コーディング領域のヒストン修飾の状態をクロマチン免疫沈降法により解析した。