抄録
翻訳後修飾分子であるSUMOはユビキチンと類似した構造を持つ。しかし、その機能はユビキチンとは異なり、タンパク質の活性・局在の変化、安定化などに機能している。SUMOはC末端が切断され2つのグリシン残基が露出した成熟型となることで、標的タンパク質との共有結合が可能となる。シロイヌナズナには8つのSUMO遺伝子が存在しており、これらの因子が何らかの形で使い分けられていると考えられる。我々は、これまでにESTの確認がなされていなかったAtSUMO4, 6, 7が実際に発現していることを明らかにした。さらにGUSレポーター遺伝子を用いてAtSUMO1-7がそれぞれ組織特異的に発現することを明らかにし、各SUMO分子が、時期・組織特異的に働いている可能性を示した。さらに、SUMOの機能分担について、C末端切断による成熟化、基質との共有結合能力の有無、基質特異性といった観点から現在、解析を進めている。AtSUMO4, 6, 7においては、他のSUMOアイソフォームに保存されている成熟型C末端の2つのグリシン残基が1つしか保存されておらず、共有結合によるSUMO化修飾とは異なる機能を持つ可能性が考えられる。このことから、AtSUMO4, 6, 7が最近報告された非共有結合型のSUMO-標的タンパク質の相互作用によるタンパク質の機能変換に関与する可能性についても検討している。