日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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クロロフィルdをもつシアノバクテリアAcaryochlorisの光反応機構:遅延蛍光の包括的時間スケールでの解析
*篠山 稔晴西田 康二福島 佳優中村 洋子伊藤 繁
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p. 0322

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抄録
光合成反応中心における光化学反応は可逆的であり、光反応で生じた初期電荷分離状態の一部は光反応の逆反応である電荷再結合反応ににより蛍光(遅延蛍光)を出し消失する。光化学系II反応中心複合体内においても、光励起後ある程度の時間にわたり電子供与体の励起一重項状態(P680*)とアンテナ色素の励起状態(Chl*)が電荷分離状態(P-H+)との平衡により生じて、遅延蛍光を出すことが知られている。逆に遅延蛍光を測定することで光化学系II cofactor間の自由エネルギー差などの情報を得ることが出来る。
しかし、多段階の電子移動反応により生じる様々な電荷分離状態(P+H-, P+QA-, P+QB-,Y+QA-, S2QA-, S2QB-状態など)が時間とともに生成消滅し、遅延蛍光を出すChl*との平衡にかかわるため、遅延蛍光の減衰は複雑な時間経過を示す。通常の光化学系II反応中心ではクロロフィルa(Chl a)が主要色素であり、他の色素はアンテナタンパク質としてのみ機能し遅延蛍光もださない。しかし、Acaryochloris marinaはChl dを主要色素とし、720-740 nmの遠赤色光を用いて光合成を行う。この光化学系IIではChl aとChl d両方の遅延蛍光が報告されており興味深い。
今回、Acaryochlorisの蛍光と遅延蛍光をレーザ励起後ピコ秒領域から、ナノ秒-ミリ秒、秒スケールまでにわたり包括的に測定した。これにもとづきこの新型光合成生物の光化学反応を検討した。
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© 2008 日本植物生理学会
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