抄録
好熱好酸性の原始紅藻Cyanidioschyzon merolaeは最も原始的な真核光合成生物の一種であると考えられている。光化学系II ( 系II )複合体の特徴を解明し、紅藻と他の光合成生物との共通点、相違点を明らかにするため、我々はC. merolaeから、高い活性を保持した系II複合体を高純度に精製し、詳細な解析を行った。精製された系II複合体の収率は可溶化チラコイド膜に含まれていたクロロフィルaの約20%であり、そのうちの約20%が単量体、80%が二量体であった。精製された標品にはPsbO, PsbQ, PsbU, PsaV, Psb30 ( Ycf12 )などを含む17以上のサブユニットから構成されていた。Psb30の遺伝子は被子植物以外の光合成生物に広く保存されているが、C. merolaeにおいても実際に発現していることが確認された。反応中心あたりの色素およびキノンの結合量は、単量体、二量体ともにラン色細菌Thermosynechococcus elongatusで報告されている値と同じであった。これらの結果は、C. merolaeの系II複合体はラン色細菌型であることを示す。この系II複合体標品における酸素発生活性のpH依存性、溶質依存性から推察される特長についても併せて発表する。