日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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阻害剤と遺伝子破壊がシアノバクテリアのクロロフィル蛍光強度の経時変化にもたらす影響と遺伝子機能予測
*尾崎 洋史園池 公毅
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p. 0338

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抄録
近年、遺伝子の配列情報は急速に蓄積しているが、遺伝子機能の解明はその速度に追いついていない。このため、新たな遺伝子機能予測の方法が求められている。我々は、シアノバクテリア遺伝子破壊株の中から、強光下での光化学系量比調節に異常がある破壊株をクロロフィル蛍光強度の経時変化を用いて効率よく単離できることを報告している。このことは、クロロフィル蛍光が破壊された遺伝子の機能の指標となりうることを意味している。一方、様々な薬剤をシアノバクテリアに与えると、薬剤ごとに特徴的なクロロフィル蛍光の挙動変化が見られ、その変化の大きさは薬剤の濃度に依存した。つまり、阻害された機能の種類がクロロフィル蛍光の挙動変化のパターンに反映され、阻害の大きさが蛍光挙動変化の大きさを反映すると考えられる。従って、変化の大きさを長さに、変化のパターンを方向にとった表現型ベクトルとしてクロロフィル蛍光を扱えば、遺伝子破壊株においては欠損した機能の種類がベクトルの方向に、表現型の強さがベクトルの長さに対応するのではないかと予測した。そこで、約500の遺伝子変異株においてこの表現型ベクトルを比較すると、強光下で光化学系量比に異常のある破壊株のベクトルの向きがある一定の方向に集まることが分かった。クロロフィル蛍光に対する遺伝子破壊の影響を阻害剤の影響と比較した結果についても合わせて報告したい。
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© 2008 日本植物生理学会
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