日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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インドールアセトアルドキシム分析法の確立によるオーキシン生合成経路の解析
笠原 博幸*菅原 聡子軸丸 祐介菱山 正二郎西村 岳志小柴 共一神谷 勇治
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p. 0342

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抄録
現在、推定されている植物のオーキシン(IAA)生合成経路において、トリプタミンからN-ヒドロキシトリプタミンを生成するYucca経路が注目されている。この他のYucca経路中間体としてはインドールアセトアルドキシム(IAOX)が推測されているが直接的な証拠はない。一方、シロイヌナズナはTRPから合成するIAOXを分岐点として、生体防御物質のインドールグルコシノレート(IG)を合成する。このIAOX合成酵素はシトクロームP450モノオキシゲナーゼ(Cyp79B2、Cyp79B3)であり、これらの酵素遺伝子を欠損した二重変異体cyp79b2cyp79b3はIGを合成できず、また高温条件下でIAA 内生量が減少することが既に示されている。本研究ではIAA生合成経路の全容解明を目的としてIAOXのLC-TOF-MS/MS分析法を確立し、IAOXがIG生合成経路以外の推定IAA生合成経路に含まれる可能性について検討した。その結果、シロイヌナズナの野生型で検出されたIAOXが二重変異体cyp79b2cyp79b3では検出されなかった。また、シロイヌナズナ以外の植物からもIAOXは検出されなかった。これらの結果、IAOXはアブラナ科植物に特異的なIG生合成中間体であり、Yucca経路や他のIAA生合成経路には存在しない可能性が高いことが示された。
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© 2008 日本植物生理学会
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