日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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GAI 相互作用因子GAF1 によるジベレリン信号伝達機構の解析
*深澤 壽太郎村越 悟寺村 浩那須野 慶西田 尚敬吉田 充輝山口 信次郎神谷 勇治高橋 陽介
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p. 0351

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抄録
植物ホルモン・ジベレリン (GA) は発芽・伸長成長・開花時期を制御することが知られている。GA信号伝達において、植物固有のGRAS family に属するDELLAタンパク質は、核内で主要な抑制因子として機能し下流の信号伝達を抑制しているが、GAの添加にともない速やかに分解される。GAレセプター、SCF複合体の発見によりDELLAタンパク質の分解までの経路が明らかとなったが、下流の信号伝達経路は明らかとなっていない。
我々は、独自に開発したTup1-Two hybrid 法によりGA信号伝達における主要な抑制因子であるDELLAタンパク質(GAI,RGA)と相互作用する転写因子GAF1を単離した。ゲルシフト解析の結果、GAF1は、塩基配列特異的な結合能を有する転写因子であることを明らかにした。GAF1過剰発現体は、開花時期の促進、胚軸の伸長、葉の展開といった表現型を示した。また酵母を用いたモデル実験においてGAF1は、単独ではほとんど転写活性化能を示さないが、GAIと相互作用することによって強い転写活性化能を示すことが明らかとなった。
以上の結果より、GA信号伝達において、GAF1は、塩基配列特異的な結合能を有する転写因子であり、GAIと相互作用することにより強い転写活性化能を有し、GA量依存的なGAIの分解によりその転写活性化能を変化させる可能性が示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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