日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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リノレン酸によるシロイヌナズナの花成とAPETALA1 (AP1)の制御
*大野 良子兒玉 なつ美柳田 元継小川 健一
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p. 0360

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抄録
我々は、シロイヌナズナの花成が膜脂質のリノレン酸 (LAC) によって抑制されることを見出した。野生型(Col)を低温(15°C)で生育させると、22°Cの場合と比べてリノレン酸量が増加し遅咲きとなる。リノレン酸の合成酵素が欠損したfad3, fad7, fad8三重変異体は低温による花成の遅延が軽減されたことから、低温による花成の遅延はLACに起因することが考えられる。本研究ではLACによる花成とAP1の制御との関係について解析した。野生型Colを22°Cで生育するとAP1の発現はリノレン酸量が減少した後に見られた。リノレン酸量を高めた35S-FAD3植物では、AP1の発現は遅れ開花が遅延したが、fad3, fad7, fad8三重変異体では、野生型に比べAP1の発現が早まった。また、AP1を高発現させた35S-AP1植物は早咲きであるが、その表現型は低温で抑制され、さらに35S-FAD3植物との交配によっても抑制された。以上よりLACはAP1の花成促進機能をタンパク質及び転写レベルで制御すると考えられた。
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© 2008 日本植物生理学会
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