日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ3量体Gタンパク質βサブユニットの機能解析
*藤澤 由紀子鮫島 千裕藤原 ちひろ廣部 あゆみ隠岐 勝幸加藤 久晴岩崎 行玄
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p. 0366

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抄録
イネ3量体Gタンパク質α,β,γ1,γ2サブユニットは,特異抗体を用いたウエスタンブロット解析により,細胞膜上に局在していることを明らかにしている.細胞膜を可溶化後,ゲル濾過を行うと,400kDa領域にα,βγ1,βγ2の各サブユニットが検出されたことから,全サブユニットは複合体を形成している可能性が示されている.一方興味があることに,60kDa領域にβ,γ1,γ2サブユニットが大量に検出された.動物において,βサブユニットとγサブユニットはダイマーを形成する.このことをふまえると,イネにおいては,3量体を形成していないβγサブユニットが存在していることになる.このβγダイマーが,3量体を形成している複合体とは別に新たな機能を有しているか否かに興味が持たれた.
野生型およびイネ3量体Gタンパク質αサブユニット遺伝子の欠損変異体d1を用いて,イネ3量体Gタンパク質βサブユニット遺伝子の発現抑制個体を作出し,βサブユニットの機能推定を試みた.ウエスタンブロット解析により,βサブユニットの蓄積が抑制されている形質転換体を選別した.野生型およびd1由来の全ての形質転換体は,矮性,致死,小粒などの表現型を示した.αサブユニットが欠失した変異体であるd1は,致死や小粒などの異常を示さない.このことから,βサブユニットはαサブユニットとは独立した情報伝達経路に関与している可能性が示唆された.
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© 2008 日本植物生理学会
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