日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物葉緑体におけるカルシウム異存的緊縮制御因子の機能解析
*戸澤 譲七宮 英晃成澤 隆邦笠井 光治
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p. 0367

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抄録
バクテリア緊縮応答機構の制御物質ppGppならびにppGppの合成酵素が植物の葉緑体に存在していることが近年明らかにされてきた。植物ppGpp合成酵素は、RSH (RelA-SpoT homolog)と命名され、一群のRSHは葉緑体に局在して機能することが示されている。我々は、植物(イネ、シロイヌナズナ)から新しいタイプのRSH遺伝子を見出し、コードタンパク質の機能解析を進めた。まず、エンドウマメ葉緑体を用いた試験管内移行実験を行ない、成熟タンパク質の葉緑体移行を確認した。成熟型タンパク質のアミノ酸配列には、C末端側に2つのEF-handモチーフが存在することから、カルシウムイオン結合による機能制御系の存在が予想された。そこで、無細胞翻訳系によりこの新規タンパク質を合成・精製し、ppGpp合成活性の解析を進めた。その結果、カルシウムによる精製タンパク質のppGpp合成活性化、ならびにEF-handへの点変異導入によるカルシウム異存的ppGpp合成活性化作用の消失を確認した。以上より、新たに見出したRSHはカルボキシ末端のEF-handモチーフによるカルシウム活性制御を受ける新規RSHタンパク質であることを確認し、我々はこの新しいRSHをCRSH (Calcium-activated RSH) と命名した。本研究結果は、植物葉緑体内にカルシウムシグナルと連動するppGppシグナル系が存在する事を示唆する。Tozawa Y. et al. J. Biol. Chem. 282, 35536-35545, 2007.
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© 2008 日本植物生理学会
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