日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヒメツリガネゴケにおけるホスファチジルイノシトール5キナーゼの原形質膜局在と酵素活性の制御機構
*三上 浩司Saavedra Laura日渡 祐二Balbi Virginia長谷部 光泰Sommarin Marianne
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p. 0373

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抄録
ホスファチジルイノシトール(PI)5キナーゼ(PIPK)はPI-2リン酸を産生し、動物や酵母では内膜輸送系や細胞骨格の構築を制御している。しかし、植物PIPKの機能については不明な点が多い。植物PIPKの活性化機構を明らかにする目的で、本研究ではヒメツリガネゴケPIPK(PpPIPK)の原形質膜局在および酵素活性の制御機構の解析を行った。PpPIPK遺伝子の産物は高等植物のPIPKと同様に、N末端側にMORNドメイン、C末端側に触媒領域を持っていた。すでに高等植物PIPKの原形質膜局在がMORMドメインにより制御されていると報告されているが、MORNドメインを持たない動物のPIPKも原形質膜に局在し、その場合触媒領域が重要であることが知られている。そこで、PpPIPKとGFPの融合タンパク質の細胞内局在を調べたところ、全長および触媒領域を用いたときに原形質膜局在が観察されたが、MORN-GFPは細胞質に分布していた。これらの結果から、MORNドメインは原形質膜局在に関与していないことが明らかとなった。さらに、原形質膜局在およびPIPKの活性化に必須なアミノ酸を同定したところ、いずれも触媒領域内のactivation loopに存在しており、これは動物のPIPKの場合と同様であった。以上のことから、PIPKの原形質膜局在および酵素活性の制御機構は真核生物で保存されていると考えられた。
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© 2008 日本植物生理学会
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