日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ポプラFT/TFL1遺伝子の単離及び解析
*伊ヶ崎 知弘西口 満二村 典宏古藤田 信博
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p. 0411

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抄録
一般に、木本植物は播種してから開花結実するまでに長大な期間を要する。幼若期間と呼ばれるこの期間は、リンゴ等果樹の育種を推進する上で大きな障害となっている。一方、スギやヒノキなどは、着花齢に達すると大量の花粉を大気中に放出し、花粉症問題を引き起こしている。そこで、我々は、遺伝子組換え技術を利用して木本植物の花成を自在に制御することを目的に研究を進めている。FLOWERING LOCUS T (FT)やTERMINAL FLOWER 1(TFL1)は、栄養成長から生殖成長への切り替えに関する遺伝子の一つと考えられており、今回、我々はポプラの一種であるセイヨウハコヤナギ (Populus nigra L. var. italica)から9種類のFT/TFL1 ファミリー遺伝子を単離し、その解析を行った。その結果、TFL1と系統学的に近い遺伝子PnTFL1は頂芽や側芽等で発現し、一方、FTと系統学的に近い遺伝子PnFT1PnFT2は花芽形成期の葉や花器官で発現していることが分かった。また、これらの遺伝子を過剰に発現する組換えシロイヌナズナを作出したところ、PnTFL1を過剰発現する個体では花成の顕著な遅延が、また、PnFT1PnFT2を過剰発現する個体では花成の顕著な促進が観察された。
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© 2008 日本植物生理学会
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