抄録
われわれは、FT遺伝子過剰発現体の花成早化表現型を昂進する優性変異体crp-1D (cryptic precocious-1D) を単離した。原因遺伝子は転写メディエーター複合体のサブユニットMed12に相当するタンパク質をコードしていた。CRP遺伝子は、花成を含めた発生過程において、様々な遺伝子の発現制御に関わる可能性が考えられる。そこで、CRP遺伝子の発生過程における役割について調べるため、T-DNAの挿入による機能欠損変異体crp-3、crp-4を取得し、crp-1Dとともにその表現型を観察した。crp-1Dは花成早化表現型を示すのに対し、CRP遺伝子機能欠損変異体は花成遅延表現型を示した。さらに、CRP遺伝子変異体は多面的な形態異常を示し、幼植物においてcrp-1D変異体では野生型に比べてわずかに葉が大きくなるのに対し、機能欠損変異体は矮小形質を示すなど、互いに逆の表現が観察された。これらのことから、crp-1D変異は機能獲得型の変異であると考えられる。pCRP::GUSを用いた観察により、植物体全体、特に維管束と茎頂、根端における発現が示唆された。現在、マイクロアレイとRT-PCRを用いた野生型と変異体の遺伝子発現プロファイルの解析、crp-1Dと機能欠損変異体のより詳細な表現型の解析をおこなっている。