日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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茎頂におけるFT蛋白質による花成促進機構の解析
*大門 靖史鳥海 修平阿部 光知荒木 崇
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p. 0413

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抄録
シロイヌナズナでは様々な花成制御情報が、FTを含む花成経路統合遺伝子の発現制御の形で統合される。FT蛋白質はPEBP/RKIPファミリーに属しており、多くの植物種で相同分子種とみられる遺伝子が同定されている。われわれは遺伝学的解析により、FTと相互依存的に機能する別の花成制御因子FDを同定した。FDはbZIP型転写因子をコードしており、茎頂で発現している。一方、FTは葉の維管束で発現している。また、FTとFDは核内において蛋白質間相互作用する。これらの結果から、FTは茎頂へ長距離移動して核内でFDと相互作用することで遺伝子の発現制御をおこない、花成を促進していると考えた。近年FT蛋白質が長距離移動することが示され、長らく謎であった花成ホルモン「フロリゲン」の実体であると考えられている。われわれはFT蛋白質が茎頂に到達した後の花成促進機構を明らかとすることを目的として、35S::FT:GRとpHSP::FTの異なる二種類のFT誘導系を構築し、これらをサンプルに用いたマイクロアレイ解析をおこなっている。また、ft変異体とfd変異体の表現型の相違から、FTによる花成促進はFDとの相互作用だけでは説明できない。そこで、得られたFT下流候補遺伝子のFDへの依存性の確認もおこなっている。
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© 2008 日本植物生理学会
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