日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ特異的な花成促進因子Ehd1の青色光依存的な転写誘導にはOsGIが必須である
*伊藤 博紀井澤 毅
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p. 0414

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抄録
Ehd1はイネ特異的な花成誘導因子であり、イネのCOオーソログHd1とは独立にイネフロリゲン遺伝子Hd3aの発現を誘導できる。そして、Ehd1は青色光によって転写誘導されるが、その分子機構はよく解っていない。
シロイヌナズナのGIは概日時計の構成因子として、COの転写制御を通してフロリゲン遺伝子の発現を制御する。最近になって、LOVドメイン型F-boxタンパク質FKF1およびZTLが青色光依存的にGIと複合体を形成し、標的タンパク質CDF1またはTOC1を夕方に分解することで、COを含む下流遺伝子の発現を制御することが明らかとなった。我々は、フィトクロムを欠損しHd3aを恒常的に発現するイネ早咲き変異体se5se5に対して顕著な開花抑制を示すse5/osgi二重変異体の解析から、イネにはHd1非依存的で且つOsGI依存的なHd3aの転写誘導経路が存在することを見出した。また、se5/osgi変異体では青色光依存的なEhd1の転写誘導が観察されなかったことから、OsGIの下流でEhd1が機能し、その転写誘導はLOVドメイン型F-boxタンパク質とOsGIとの相互作用に因る可能性がある。しかしながら、OsGIを介したEhd1の転写誘導は朝方の青色光に応答して起こることから、GIによる制御とは異なる青色光受容と概日時計の相互作用が想定され、その機構について議論したい。
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© 2008 日本植物生理学会
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