日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ転写因子VOZを介した花成制御機構の解析
*安居 佑季子硯 亮太向川 佳子佐藤 雅彦河内 孝之
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p. 0415

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抄録
フィトクロムは植物の主要な光受容体であり、青色光受容体と共に花成を制御している。既知のフィトクロム相互作用因子の多くは、芽生えの植物体を用いて同定されており、生長後期特有の相互作用因子を同定することが重要であると考えた。そこで抽苔時のシロイヌナズナcDNAライブラリーを用い、フィトクロム相互作用因子のスクリーニングを酵母ツーハイブリット法によりおこなった。その結果、液胞に局在するタンパク質の転写因子として見つかったVOZ (Vascular plant One-Zinc finger) が単離され、さらにin vitroにおいてもフィトクロムとVOZの相互作用が示された。VOZは、陸上植物において広く保存されており、シロイヌナズナにおいてはAtVOZ1、AtVOZ2の二分子種が存在する。voz1/voz2二重変異体が長日条件下で遅咲きの表現型をみせることからVOZが光周期依存的なシグナル経路上で機能することが示された。またphyBとの三重変異体を用いた解析によりVOZがphyBの下流で機能することが示唆された。花成促進因子として知られるFT、COの遺伝子発現をvoz1/voz2二重変異体において調べた結果、WTと比較して、COの遺伝子発現に変化はないが、FTの光周期に依存した発現上昇がみられないことがわかった。VOZと他の花成因子との機能的な位置関係を、光条件を交えて考察したい。
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© 2008 日本植物生理学会
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