日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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phyBによる花成遅延を抑制する新奇花成因子PHF
*遠藤 求村上 匡史鈴木 友美長谷 あきら
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p. 0416

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抄録
シロイヌナズナにおいてphyBやcry2/phyAといった光受容体は花成を制御していることが知られている。これら光受容体はCOタンパク質の安定性を制御することで、その下流にあるFTおよびSOC1の発現を制御している。しかし、光受容体からこれら遺伝子発現制御に至る過程はまだ多くの点で不明であり、ここに位置づけられる因子は少ない。
私たちはSALKのT-DNA挿入系統およびTILILNG法よりAt1g72390に変異のある変異体を取得した。これらの変異体は顕著な遅咲き表現型を示し、当該遺伝子をPHYTOCHROME-DEPENDENT FLOWERING (PHF)と名づけ詳しい解析を行った。phyB phf二重変異体の解析および単色光下での花成時期からPHFはphyB依存的に花成を制御していることを確認した。PHFとPHYBの関係をより詳細に解析するために、yeast two-hybrid assayおよびpull-down assayを行ったところ両者の結合が確認された。野生型と比較してphf変異体では、CO発現はそれほど変化していないにも関わらず、FT発現およびSOC1発現が低下していたことから、これら遺伝子の発現変化がphf変異体での遅咲きの原因であると考えられた。
こうした解析から私たちはPHFをphyBによる花成遅延を抑制する新奇花成因子と位置づけた。
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© 2008 日本植物生理学会
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