日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナペルオキシソームに局在する新奇プロテアーゼAtDeg15の解析
*谷川 いづみ加藤 朗
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p. 0424

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抄録
ペルオキシソームは真核細胞に普遍的に存在するオルガネラであり、高等植物では他のオルガネラと協同して脂肪代謝や光呼吸に関与する。多くのペルオキシソームタンパク質は、細胞質で合成された後、輸送シグナルperoxisome targeting signal (PTS)に依存してペルオキシソームへ輸送される。主なPTSには、タンパク質のC末端に存在する特徴的な3アミノ酸で構成されるPTS1と、N末端延長配列内に見出されるPTS2が知られている。PTS2を含むN末端延長ペプチド(以後PTS2と略す)は、輸送後、ペルオキシソーム内で切断されるが、PTS2の認識、切断機構の詳細は明らかにされていない。
AtDeg15(At1g28320)は、PTS1相同配列をC末端に持つ、大腸菌DegQプロテアーゼのシロイヌナズナホモログである。シロイヌナズナのT-DNA挿入変異体atdeg15を同定、解析した結果、変異体atdeg15では、PTS2を持つチオラーゼ、リンゴ酸脱水素酵素の、PTS2が切断されていない高分子量前駆体が蓄積することが分かった。また、atdeg15では、β酸化系の活性が低下することが明らかになった。以上の結果は、AtDeg15がPTS2を切断するプロセシング酵素であること、プロセシング以外にもペルオキシソームの機能発現に関与する可能性を示唆する。
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© 2008 日本植物生理学会
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