日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アブシジン酸の認識に関わるCYP707A3のアミノ酸残基
*上野 琴巳平松 佐織水谷 正治平井 伸博轟 泰司
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p. 0432

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抄録
植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)は、cytochrome P450であるABA 8'-水酸化酵素(CYP707A)によって8'位を水酸化され、ファゼイン酸へ自発的に環化することで不活性化する。種々のABAアナログ及びCYP707A3阻害剤の酵素阻害試験の結果から、ABA 8'-水酸化酵素リガンドの基本骨格は、分岐鎖を含む炭素数7以上の炭化水素鎖を5位に有する2Z,4E-pentadienoic acidで構成されることが明らかになった。特に1位カルボン酸は酵素との結合に重要な官能基であるが、酵素の結晶構造解析が行われていないため、カルボン酸と相互作用する酵素のアミノ酸残基は明らかになっていない。そこでホモロジーモデリングによって予想された活性部位周辺のアミノ酸残基の変異酵素を部位特異的変異導入法によって作製し、基質との相互作用に重要なアミノ酸残基を探索した。Lys220及びLeu343をアラニンに置換した変異酵素は活性を維持していた一方で、Lys109やPhe119, Asn207, Phe274, Lys366をアラニンに置換すると酵素活性が大きく低下した。特にCYP707A3変異酵素K109A及びN207AはCO差スペクトルが観察されたにもかかわらずABAの8'位水酸化能が大きく低下した。この結果より、これらの部位はABAの1位カルボン酸と相互作用をし、基質の結合に重要であると示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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