日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの熱ストレス応答機構におけるHsfA3遺伝子の発現と機能の解析
*吉田 拓実佐久間 洋戸高 大輔圓山 恭之進秦 峰溝井 順哉城所 聡篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 0451

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抄録
植物の生育は熱ストレスによって大きな影響を受ける。シロイヌナズナのDREB2A遺伝子は、環境ストレス応答機構における重要なシスエレメントであるDREに特異的に結合して転写を活性化する転写因子をコードしている。一部のアミノ酸配列を欠失させた活性型DREB2Aを過剰発現させた植物体では、高温耐性が向上した。この過剰発現体中で最も高発現した下流遺伝子としてHsfA3が見出された。HsfA3はシロイヌナズナ中に21種存在するHeat Shock Factor (HSF) の1つであるが、機能についてはあまり知られていない。本研究では、熱ストレス下でDREB2Aによって制御されるHsfA3遺伝子の発現制御機構およびHsfA3の機能解析を行った。
シロイヌナズナの野生株中のHsfA3遺伝子の発現量は、熱処理後10時間まで上昇し続けるが、dreb2a変異体では発現量の上昇が強く抑えられた。培養細胞を利用したトランジェント発現解析においてHsfA3プロモーター: GUSの発現が、DREB2Aにより活性化されることが示された。また、マイクロアレイ解析により、HsfA3過剰発現体中で多くの熱ストレス応答性遺伝子の発現が上昇していることが明らかになった。さらに、過剰発現体では高温耐性が向上すること、hsfa3変異体では高温耐性が低下することが確認された。これらの結果からHsfA3DREB2Aの下流で機能し高温耐性獲得に関与していることが明らかとなった。
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© 2008 日本植物生理学会
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