日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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低温及び乾燥環境下におけるイネのトランスクリプトーム及びメタボローム解析
*圓山 恭之進城所 聡高崎 寛則成田 一義櫻井 望鈴木 秀幸斉藤 和季柴田 大輔篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 0450

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抄録
陸上植物は、自立的な移動手段を持たないため、様々な自然環境に瞬時に応答して適応するメカニズムを持っている。低温及び乾燥環境下では複数の代謝酵素をコードする遺伝子の発現が誘導され、種々の糖、アミノ酸、有機酸、フラボノール等の蓄積量が増加する。これら低温及び乾燥環境下における代謝酵素遺伝子の発現や代謝産物の蓄積量の変化は、ストレス耐性に関与すると考えられている。しかしながら、これまでイネの代謝産物に関する大規模解析は行われていなかった。
本研究では、ゲノムレベルで網羅的に解析できるイネを用いて、低温及び乾燥環境下におけるトランスクリプトーム及びメタボローム解析を行い、低温及び乾燥耐性に関与すると考えられる因子を同定した。具体的には、低温及び乾燥処理したイネ植物体地上部からRNAを抽出して、44K イネオリゴアレイを用いて低温及び乾燥誘導性遺伝子を同定した。同定した遺伝子群から代謝関連酵素遺伝子を抽出した後、系統分類して鍵酵素を選抜した。低温及び乾燥環境下では、数種のデンプン分解酵素、アミノ酸合成酵素、二次代謝関連酵素をコードする遺伝子のmRNAの蓄積量が増加した。さらに、低温及び乾燥処理したイネ植物体地上部から代謝産物を抽出して、LC/MS、GC/MS、CE/MSを用いて蓄積量が変化する代謝産物を同定した。低温及び乾燥環境下では、数種のオリゴ糖、アミノ酸、フラボノイドの蓄積量が増加した。
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© 2008 日本植物生理学会
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