日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アブラナ科植物の自家不和合性に関わる膜結合型キナーゼMLPKの機能解析
*垣田 満村瀬 浩司岩野 恵柴 博史磯貝 彰高山 誠司
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p. 0460

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抄録
アブラナ科植物の自家不和合性における花粉-柱頭間の自他識別機構には、柱頭の細胞膜上に存在する受容体型キナーゼSRK(S-locus receptor kinase)と花粉表層タンパク質SP11(S-locus protein 11)のSハプロタイプ特異的な相互作用を介して行われていることが明らかとされているが、自己花粉の吸水・発芽阻害に至るSRK以降の情報伝達系に関しては依然未解明である。近年、我々は自家和合性変異株の解析から、膜結合型キナーゼMLPK(M-locus protein kinase)を同定したが、その機能については明らかとなっていない。
今回我々は、MLPKが転写開始点の異なる2つの転写産物(MLPKf1MLPKf2)を産生することを明らかにした。また、両者は異なる転写調節を受けていることを明らかにする一方で、双方ともに乳頭細胞で発現し、不和合情報を伝達する活性を有することを明らかにした。さらに、MLPKf1とMLPKf2はそれぞれ異なる機構で細胞膜に結合していること、この膜局在性が自家不和合情報伝達におけるMLPKの機能に必須であることを示した。さらに、MLPKとSRKが細胞膜上で直接相互作用することを示した。以上の結果は、MLPKはSRKと受容体複合体を形成し、自家受粉の際に、不和合反応に至る情報伝達系を活性化している可能性を示唆している。
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© 2008 日本植物生理学会
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