日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Synechocystis sp. PCC6803 における光により活性化される従属栄養的生育時のタンパク質組成の変化とsll1330の関与
田部井 陽介*岡田 克彦牧田 伸明柁原 弘之都筑 幹夫
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p. 0485

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抄録
Synechocystis sp. PCC6803 は光独立栄養でも従属栄養でも生育が可能であるが、従属栄養的生育では(炭素源となるグルコース存在下で)1日5分程度の光照射が必要である。これまで、従属栄養条件下における光照射の効果を解析し、解糖系酵素の1つであるfructose-1.6-bisphosphate aldolase 遺伝子fbaA の発現に光照射が必要なことと、その発現調節に sll1330が関与していることを報告した(日本植物生理学会年会2007)。光照射の作用を解析する目的で、従属栄養条件下で間欠光照射下または完全暗所に置いた細胞のタンパク質組成を2次元電気泳動により比較したところ、間欠光照射下で多くの種類のタンパク質が誘導されていた。間欠光照射で合成が促進されたタンパク質をTOF-MSで同定したところ、光合成、呼吸、エネルギー獲得反応、他の細胞内反応に関わるものであった。fbaA遺伝子の産物である Fructose-1,6-bisphosphate aldolase (FBA) も間欠光照射で合成が促進されることが確かめられた。
sll1330はHTH型のDNA結合部位とリン酸化受容部位のモチーフを持ち、レスポンスレギュレーターをコードすると推定されるORFで、この遺伝子の破壊株では間欠光照射下でもFBAのタンパク量が低下していた。これらのことから、sll1330を介したFBAの調節が間欠光照射下の従属栄養的生育に重要な役割を果たしていると推定された。
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© 2008 日本植物生理学会
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