日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアの光生物的水素生産効率増大と持続性向上に向けた遺伝子工学的改良と培養条件
増川 一井上 和仁*櫻井 英博
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p. 0486

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抄録
シアノバクテリアのニトロゲナーゼ系、光合成系を利用して、水素を大量生産することを目的に、ヒドロゲナーゼ、ニトロゲナーゼ関連遺伝子を破壊した幾つかの改良株を作成した。Nostoc sp. PCC7120株は、取り込み型(Hup)及び双方向性(Hox)の2種類のヒドロゲナーゼを持つが、ΔhupL 、ΔhupLhoxH株で、水素生産活性が野性株に比べて顕著に改善された。野生株のニトロゲナーゼ活性が高い Nostoc sp. PCC7422株のΔhupL株は、水素生産性が高く、Ar気相下で、4-7日間に、水素を約30%に蓄積し、弱光下での光エネルギー変換効率は、3.7%(対可視光)であった。これらの株を窒素を含まない培地に移すと、1-2日後にニトロゲナーゼ活性と水素生産活性が上昇するが、空気中では、高活性時期が10時間程度しか持続しない。気相がArのみの場合は、水素生産生産性の高い時間がより長く続くが、数日後には低下する。低濃度のCO2, N2添加は、水素生産性の持続性維持に有効であった。ニトロゲナーゼの触媒金属クラスター(FeMoS)は、ホモクエン酸が配位している。PCC7120 ΔhupL株から、ホモクエン酸合成酵素遺伝子( nifV1nifV2)の一方、または両方を破壊した変異株を作製した。nifV1破壊株では、水素生産の持続性が向上した。
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© 2008 日本植物生理学会
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