抄録
花粉管内にある2つの精細胞のうち一方が卵細胞、もう一方が中央細胞とそれぞれ受精する重複受精は、被子植物に繁栄をもたらした重要な生殖機構である。しかし、受精の舞台となる胚のうは、胚珠組織に覆われていて直接観察することが困難なため、受精の瞬間が捉えられたことはなく、どのようにして2つの精細胞が確実に受精相手の細胞と受精していくのかは明らかでなかった。
我々は、高感度2色4次元共焦点顕微鏡システムの構築を進めるとともに、シロイヌナズナを用いて重複受精のライブイメージングを可能とする蛍光タンパク質マーカーの開発を進めてきた。その結果、精細胞特異的ヒストンであるH3.3を用いることで精細胞を可視化し、受精相手となる卵細胞、中央細胞を中心とした雌性配偶体の可視化も同時に行うことで、重複受精のライブイメージングに成功した。これにより、花粉管内容物の放出に伴って、精細胞は1分以内に受精の起こる領域に運ばれ、胚のう内を動き回ることなく、中央細胞側が先に受精していくことが明らかになった。最新の映像を紹介し、重複受精機構について考察したい。