日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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FKF1-GI複合体による光周性花成の制御機構
*澤 真理子ケイ スティーブ今泉 貴登
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p. 0492

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抄録
植物が、栄養成長から生殖成長へと成長段階を変換する最適な時期を選別することは、子孫存続に関わる重要な現象である。シロイヌナズナは体内時計を基に日長の変化を感知し花成時期を決定している。この光周性花成は外的符合モデルにより説明される、体内時計によるCONSTANS(CO) 遺伝子の発現制御と、CO蛋白質の光による安定性及び活性の制御が鍵とされている。今回我々は、CO発現制御においてFLAVIN-BINDING, KELCH REPEAT, F-BOX 1(FKF1) とGIGANTEA(GI)による複合体形成が重要である事を明らかにした。FKF1-GI複合体形成は青色光により促進され、CO遺伝子の発現を抑制するCYCLING DOF FACTOR 1(CDF1)の分解を担う。FKF1及びGIの発現はそれぞれ体内時計の制御下にあり、花成を誘導する長日条件下では同じ時期に発現ピークを迎え、非誘導条件である短日条件下では異なる時間にピークを迎える。このことで長日条件下ではFKF1-GI複合体の形成が明期に十分に起こり、一方短日条件下では複合体の形成が短時間に抑えられる。よって光周性花成の要となるCO発現制御において、FKF1-GI複合体形成におけるFKF1の発現と光という外的符合と、FKF1GIの発現時期における内的符合という二層の分子機構が重要であると考えられる。
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© 2008 日本植物生理学会
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