日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアSynechococcus elongatusの概日発現する遺伝子群とそのネットワーク
*伊藤 浩史陸田 径典村山 依子杉田 千恵子杉田 護近藤 孝男岩崎 秀雄
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p. 0494

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抄録
シアノバクテリアSynechococcusはゲノムワイドな遺伝子発現の約24時間周期のリズムがあると報告されている。Synechosystisでは9%の遺伝子が概日振動しているとの報告がある(Kucho et al. 2005)が、よりはっきりした概日リズムを示すと言われているSynechococcusでの報告はない。
私たちは高密度DNAマイクロアレイを用いて連続明条件下のゲノムワイドな遺伝子発現プロファイルを検討した。その結果、全ORFの約1/3にあたる遺伝子を概日時計に制御される遺伝子として同定した。またそれらの発現のピークをとる時間を調べてみると、2クラス(夕方遺伝子、明け方遺伝子)に分けられることがわかった。さらに、時計遺伝子kaiABC欠失株においては、概日振動は全ORFにわたって全て消失し、先日報告されたKaiCのリン酸化リズムがゲノムワイドな概日発現を制御するというモデル(Tomita et al. 2005)を改めて支持する結果となった。さらに、私たちはkaiC過剰発現株においても同様にマイクロアレイを用いて遺伝子発現を調べたところ、2クラスの振動遺伝子群はそれぞれ異なる振る舞いを示し、全体としては連続明条件下での主観的朝に相当する時間で時計が止まっているようなパターンを示した。以上の結果を踏まえて、概日発現する遺伝子群が織りなすネットワークについて議論したい。
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© 2008 日本植物生理学会
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