抄録
24時間周期の生物の内生リズム(概日リズム/Circadian rhythm)は生物界全般に存在する普遍的な制御システムである。植物は概日リズムを使って、周期的に変化する日長を計測し、花成や茎の伸長などの様々発生現象を制御している。シロイヌナズナにおいてGIGANTEA (GI)は概日リズム制御、花成制御、及び、フィトクロムを介した光応答において重要であることが明らかにされているが、その機能については不明な点が多く残されている。我々はzinc-fingerタンパク質であるDrought induced 19 (Di19)がGIとin vitro及びin plantaにおいて物理的相互作用を持つ事を見出した。di19変異は長日、短日条件においてphyA変異体の遅咲き形質を抑圧した。また、赤色光下においてdi19変異は同じファミリーに属するzinc-fingerタンパク質をコードする遺伝子変異と協調して胚軸伸長を促進する形質を示した。さらに、Di19の機能欠損はGIの発現周期に影響を与えた。以上の結果から、概日リズム制御、光応答、花成制御におけるGIとDi19の相互作用の重要性について議論する。