日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネNPP遺伝子ファミリーの機能解析 -NPP1,2及び6は葉緑体に局在する-
*金古 堅太郎山田 智恵柳田 愛北嶋 彩伊藤 紀美子三ツ井 敏明
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p. 0502

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抄録
我々は、イネヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(NPP)遺伝子の機能について研究を進めている。イネにおいては、6つのNPP遺伝子が存在し、それぞれ染色体3(NPP3)、8(NPP1)、9(NPP6)、12(NPP2,4,6)に在位している。NPP1,2,6を精製し、それらのタンパク化学的性質を調べた。その結果、NPP1,2,6はすべて70-74kDaのサブユニットからなるホモオリゴマーを形成すること、コンカナバリンAに認識され、そしてEndo-Hによって切断されるN-結合型糖タンパク質であることがわかった。糖タンパク質は一般に小胞体で合成された後、ゴルジ体で糖鎖修飾を受け、液胞や細胞外へ輸送・分泌される。DNA配列から予測されるアミノ酸配列を調べたところ、予想通りN-グリコシル化部位とともにNPP1,2,6のN末端にはERシグナルペプチドが見出された。しかしながら、各NPPGFP融合遺伝子をイネ細胞に導入し、共焦点レーザー顕微鏡によりその細胞内局在を観察したところ、NPP1-GFP,NPP2-GFP,NPP6-GFPの蛍光はクロロプラストの自家蛍光と一致し、これら3つのアイソザイムがクロロプラストに局在することが示された。異常の結果から、NPPはERゴルジ体系から葉緑体に輸送され、葉緑体における糖代謝に関わるヌクレオチド代謝に関与するものと考えられる。
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© 2008 日本植物生理学会
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