日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

イネ糖タンパク質α-アミラーゼI-1のプラスチドターゲティング:ゴルジ-プラスチド間輸送の解析
*北嶋 彩唐橋 あゆみ高田 頌豊岡 公徳浅妻 悟松岡 健中野 明彦三ツ井 敏明
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0503

詳細
抄録
イネα-アミラーゼI-1(AmyI-1)は、N結合型糖鎖を有する分泌性糖タンパク質である。しかしこれまでの研究から、α-アミラーゼが発芽時の胚乳のデンプン分解だけでなく、緑葉などの生細胞におけるプラスチドのデンプン分解にも関与することが明らかになった。さらに、タマネギ細胞における解析からAmyI-1-GFPのプラスチドターゲティングにER-ゴルジ間輸送が必要であることが示され、分泌系からプラスチドへの輸送経路が存在することが示された。
AmyI-1のプラスチドへの輸送経路の詳細を明らかにするため、タマネギ細胞におけるトランスゴルジマーカー(ST-mRFP)とプラスチドマーカー(WxTP-GFP)の挙動を観察・解析した。蛍光標識されたトランスゴルジはAmyI-1が構成的に発現する状況においてもっぱらプラスチドと共局在することが分かった。さらに、タマネギ細胞系を用いた3次元タイムラプス解析及びイネ細胞の高圧凍結切片の電子顕微鏡観察から、ゴルジ体がプラスチド包膜に物理的に接触し、AmyI-1を積載する小胞がプラスチドに融合・捕集されることが見いだされた。
これらの結果は、AmyI-1のプラスチドターゲティングには新奇な輸送メカニズムが関わっていることを強く示唆している。
著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top