抄録
多くのペルオキシソームタンパク質は細胞質で合成され、C末端に存在する局在化シグナルPTS1またはN末端側に存在するPTS2がそれぞれの細胞質レセプターPex5p, Pex7pに認識され、ペルオキシソーム膜上のドッキング因子Pex14pに結合することによりペルオキシソームへ輸送される。ペルオキシソームの主要な酵素であるカタラーゼはC末端またはN末端にPTS1, PTS2がみられず、輸送経路は不明である。カボチャカタラーゼCat1を用いた解析により、C末端より11アミノ酸内部に存在するPTS1様の配列QKLが局在化シグナルとして機能していることが示唆されたが、Cat1とPTS1レセプターPex5pとの結合様式は典型的なPTS1とは異なっていた。そこで、シロイヌナズナのRNAiによるPex5p発現抑制株を用いて、mRFP-Cat1融合タンパク質の細胞内局在を観察した。 その結果、Pex5pの発現を抑制するとカタラーゼのペルオキシソームへの輸送は阻害され、Pex5pがカタラーゼの輸送に関与している可能性が示唆された。Pex5pの下流でPTS1およびPTS2輸送に必要とされるタンパク質Pex14p, Pex13p, Pex12p, Pex10pの発現抑制株や変異株を用いた解析によりこれらのタンパク質もカタラーゼの輸送に必要であることが明らかとなった。