抄録
低温ストレスを受けると植物は様々な遺伝子の発現を誘導することが知られており、それらの遺伝子の中には葉緑体タンパク質をコードしているものもある。そのうちの一つであるシロイヌナズナCOR413IMファミリーは、COR413IM1およびCOR413IM2の二つの遺伝子から構成され、いずれも複数回膜貫通型のタンパク質をコードしている。これまでの研究により、少なくともCor413im1は葉緑体内包膜に局在することが明らかになっている。本研究では、Cor413im1と高いアミノ酸相同性を持つCor413im2の細胞内局在を調べた。その結果、Cor413im2-GFPの蛍光が葉緑体周辺に観察され、かつCor413im2がin vitroで葉緑体包膜に輸送されることが新たに明らかになった。また、Cor413imのような複数回膜貫通型タンパク質の葉緑体への輸送機構は現在のところほとんどわかっていない。そこで、葉緑体移行シグナル以外の領域が内包膜へのターゲティングに関与しているかどうかを調べるため、Cor413im1の部分欠失コンストラクトをシロイヌナズナに導入し、形質転換体を用いた生化学的解析を行った。現在、それぞれの部分欠失タンパク質の葉緑体内局在性および膜との相互作用を解析しており、それらについて報告する。