日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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全ゲノムの比較によるラン藻のジビニルクロロフィル還元酵素の同定と解析
*伊藤 寿横野 牧生田中 亮一田中 歩
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p. 0514

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抄録
ジビニルクロロフィル還元酵素(DVR)はクロロフィル合成系の酵素の一つであり、Bリングのビニル基をエチル基に還元する。
我々は以前、突然変異体のスクリーニングによりシロイヌナズナのDVRを同定したが、ゲノムの全塩基配列が報告されているラン藻のうち、5種のSynechococcusを除く、多くのラン藻には相同な遺伝子が存在しなかった。
そこで、我々はラン藻のDVRを明らかにするために、ラン藻ゲノム上の全遺伝子を種間で比較し、シロイナズナタイプのDVRを持たない種に特異的な遺伝子を特定することを試みた。Synechocystis sp. PCC6803を解析したところ、slr1923DVRの候補として上がった。この遺伝子はメタン菌のF420ヒドロゲナーゼのβサブユニットと相同性があり、シロイヌナズナのDVRとはまったく相同性がないものであった。
この遺伝子の破壊株を解析したところ、ジビニルクロロフィルを蓄積していた。この結果は、slr1923DVR(またはそのサブユニット)をコードしていることを示している。また、シロイヌナズナにslr1923と相同な遺伝子が存在することが明らかになった。この遺伝子のシロイヌナズナにおける破壊株の解析結果についてもあわせて報告する。
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© 2008 日本植物生理学会
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