日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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原始シアノバクテリアGloeobacter violaceusの光依存性プロトクロロフィリド還元酵素によるプロラメラボディーの形成
*増田 真二池田 礼増田 建箸本 春樹土屋 徹三室 守太田 啓之高宮 建一郎
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p. 0517

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抄録
高等植物において光は葉緑体の形成に必須である. 暗所で発芽した被子植物のプラスチド(エチオプラスト)はクロロフィルを持たず,その前駆体であるプロトクロロフィリド(Pchlide)を多量に蓄積している. PchlideのChlideへの変換は光が必要で,その反応はNADPH-Pchlide酸化還元酵素(POR)により触媒される. この反応により光照射下でのみクロロフィルの合成は進行する.エチオプラスト内でPchlideはNADPH,PORから構成されたプロラメラボディーと呼ばれる構造体を形成している. PORにはいくつかのホモログが存在し,その中のPORAとPORBがそれぞれPchlide b,Pchlide aを結合し,5:1の割合でプロラメラボディーを構成するLHPPモデルが提唱された(Reinbothe et al. 1999). しかしながら,そもそもプロラメラボディーにPchlide bが検出されないことやPORCの存在が明らかになったことなどから,LHPPモデルの再検討がなされている.
一昨年の本学会において,原始シアノバクテリアGloeobacter violaceusのPORの酵素学的性質は,他のシアノバクテリアのものよりも高等植物のものに近いことを報告した. 今回,GloeobacterのPORをシロイヌナズナのPORAノックダウン株に導入し,その表現型を調べた. その結果, 1) GloeobacterのPORは葉緑体内で機能すること, 2) Chl bを持たないシアノバクテリアのPORもプロラメラボディーを形成しうること,がわかった. この結果は上記LHPPモデルを支持しない.
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© 2008 日本植物生理学会
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