日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光依存型(暗所作動型)プロトクロロフィリド還元酵素のX線構造解析
*村木 則文野亦 次郎志波 智生藤田 祐一栗栖 源嗣
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p. 0518

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抄録
プロトクロロフィリド(Pchlide)還元酵素は、クロロフィル合成の中間体であるPchlideのD環二重結合を立体特異的に還元しクロロフィリドを合成する酵素で、光依存型と光非依存型(暗所作動型)の2種類が知られている。光非依存型のPchlide還元酵素(DPOR)は、ニトロゲナーゼと類似性を示すBchL、BchN、BchBの3つのタンパク質により構成され、BchNとBchBがヘテロ4量体を形成し触媒コンポーネントNB-蛋白質として作動する。今回、我々は光合成細菌Rhodobacter capsulatus由来DPORのNB-蛋白質を結晶化し、その結晶構造を2.3Å分解能で構造解析した。得られた構造はヘテロ4量体構造をとり、[4Fe-4S]クラスターがBchNとBchBの間に結合していたが、非常に意外なことにBchNの3つのCysの他にBchBのAsp残基がクラスターに配位していることが確認された。また、Pchlide結合型と非結合型の双方を構造解析し、Pchlide結合に伴ってBchBが大きく構造変化することも分かった。主に疎水的な相互作用によってPchlideは結合しており、BchBのC末端へリックス以外には極性アミノ酸からの直接的な相互作用は存在していなかった。発表では、これら原子レベルの構造情報をもとに、DPORの詳細な反応機構とニトロゲナーゼ類似酵素の構造基盤について議論する。
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© 2008 日本植物生理学会
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