抄録
光非依存型プロトクロロフィリド還元酵素(DPOR)は、ニトロゲナーゼ類似酵素であり、プロトクロロフィリドのD環の炭素間二重結合を還元しクロロフィリドを生成する反応を触媒する。光合成細菌 Rhodobacter capsulatus の DPORは、還元コンポーネントL-蛋白質と触媒コンポーネントNB-蛋白質から構成される。L-蛋白質がニトロゲナーゼのFe蛋白質と共通した[4Fe-4S]クラスターをもつのに対し、NB-蛋白質はニトロゲナーゼのMoFe蛋白質とは異なる金属中心をもつと推定されていた。NB-蛋白質の結晶構造解析の結果、[4Fe-4S]クラスターがBchNとBchBの間に存在することが確認されたが、このクラスターは、BchNの3つのCys(Cys26、Cys51、Cys112)に加えてBchBのAsp36が配位するというユニークな金属中心であった。本研究では、部位特異的変異導入により[4Fe-4S]クラスターに関与する残基についての一連の変異型NB-蛋白質(C26A/S、C51A/S、C112A/S、D36C/A/S、Cys95A/S)を作成した。これらの変異型NB-蛋白質を R. capsulatus の bchN または bchB 欠損株において発現させ、光合成能の回復を検討するとともに、精製した変異型NB-蛋白質の生化学的解析を行った。これらの結果をもとに各残基の役割に関して考察する。光非依存型プロトクロロフィリド還元酵素(DPOR)は、ニトロゲナーゼ類似酵素であり、プロトクロロフィリドのD環の炭素間二重