抄録
好熱性シアノバクテリアThermosynechococcus elongatus BP-1のカロテノイドを分離・精製し、同定した。通常のシアノバクテリアに見られるβ-カロテン(51%, mol% of total carotenoids)、β-クリプトキサンチン(trace)、ゼアキサンチン(8%)ばかりでなく、さらに水酸基の結合したカロキサンチン(6%)、ノストキサンチン(14%)も存在し、またシアノバクテリアに特有なミクソール配糖体(5%)、OH-ミクソール配糖体(15%)も存在していた。ミクソール配糖体の糖としてフコースやラムノースなどが知られているが、分析中である。エキネノンやケトミクソールなどケト化カロテノイドもシアノバクテリアに特有であるが、本菌株からは検出できなかった。
カロテノイド生合成遺伝子としてcrtEのみ機能確認されている。ゲノム塩基配列が決定しているので、相同性からcrtB, crtP, crtQ, crtRの存在が示唆され、一方、ケト化酵素であるcrtO, crtWの存在は確認できなかった。またゼアキサンチンに水酸基を追加してノストキサンチンなどを合成する酵素に相同性のある遺伝子crtGが存在するので、機能確認をしている。これらを総合してカロテノイド生合成経路を考察する。(Takaichi, Mochimaru (2007) Carotenoids and carotenogenesis in cyanobacteria: unique ketocarotenoids and carotneoid glycosides, Cell. Mol. Life Sci. 64: 2607-2619)