日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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円石藻Emiliania huxleyiにおけるセレノプロテインEhSEP1の同定と特性解析
*新家 弘也鈴木 石根白岩 善博
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p. 0523

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抄録
円石藻Emiliania huxleyiは、円石と呼ばれる炭酸カルシウムを主成分とする殻を細胞表面に有している海産性単細胞藻類である。この円石藻は、生育の必須元素としてセレン(Se)を要求する。先行研究よりE. huxleyiにおいて6種のセレノプロテインの存在が見出されている。その中の一つであるEhSEP2はprotein disulfide isomeraseと相同性の高い、新規セレノプロテインであることが明らかとなっている。このことは、E. huxleyiが他にも独特なセレノプロテインを有している可能性を示唆している。そこで、Seの生理機能解明に新たな知見を得ることを目的とし、EhSEP1の解析を試みた。まずEhSEP1を精製し部分アミノ酸配列を得て、全長cDNAのクローニングを行った。ホモロジー検索の結果、EhSEP1の予想アミノ酸配列は、Thioredoxin Reductase (TR)と高い相同性を示した。そこで、E. huxleyiの粗抽出液を用いてTR活性を測定した結果、ヒトやラットの精製酵素に匹敵する高い活性が得られた。この活性の維持にはSeの供給が必須であったが、Northern blot解析の結果、Seの有無に関わらずEhSEP1のmRNA量は一定であったことから、SeはEhSEP1タンパク質の合成時に供給されることが重要であると考えられた。
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© 2008 日本植物生理学会
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