日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

オジギソウチロシンフォスファターゼの生化学的解析
*奥田 淳横森 真理土屋 隆英神澤 信行
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0527

詳細
抄録
オジギソウは熱や接触刺激に応答し、葉枕を支点として屈曲運動を行う。この運動は植物運動の中でも極めて素早い運動であり、葉枕の運動細胞からカリウムイオンや大量の水が細胞外に放出され、それに伴う急激な膨圧の低下によって引き起こされている。我々の研究より、チロシンフォスファターゼ (PTP) の阻害剤であるPAO及びNa3VO4をオジギソウ生体内にインジェクションしたところ、屈曲運動能が低下したことから、運動にはPTPが関与していることが示唆された。オジギソウが属するマメ科植物のPTPは複数コピーをゲノムに持つことが報告されている。そこでオジギソウのcDNAライブラリーよりPTPをコードするクローンを単離し、サザンブロットを行ったところ、複数のアイソフォームが存在することが明らかとなった。オジギソウPTPs (MpPTP1, MpPTP2) を大腸菌発現系で発現させ、活性測定を行ったところ、Tyr残基特異的に脱リン酸化能があった。また、RT-PCRの結果、MpPTP1は根で、MpPTP2は全ての組織で発現していることが明らかになった。更に、PAOを含む培地でオジギソウを育成すると、根の著しい伸長が観察された。これらの結果から、MpPTP1は根に特異的に存在しており、根の伸長抑制に関与する事が示唆された。尚、MpPTP2は葉枕にも存在するため、屈曲運動への関与も考えられる。
著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top